インドが高額紙幣を突然廃止して
一年が経ちました。
なぜ高額紙幣を廃止したのか、
理由を振り返るとともに
どういう結果になったのかまとめました。
インドが高額紙幣を突然廃止した
一年前の2016年11月8日の夜、
インド全土の衝撃が走りました。
「今夜、高額紙幣は法定通貨としての効力を失う」
突然、首相がそう宣言しました。
廃止された高額紙幣は、
500ルピーと1000ルピーです。
日本でいうと、5千円札と一万円札です。
インドでは、この2種類の高額紙幣が
紙幣の流通の8割を占めていました。
そんなよく使う高額紙幣を
突然廃止すると宣言したのです。
しかも、衝撃だったのが、
猶予が4時間しかなかったのです!
4時間後に5千円札と一万円札が使えなくなるよ
といきなり言われたら衝撃ですよね。
インドでは、それが現実で起こったんです。
流通の8割を高額紙幣が占めていたので、
みんな少額の紙幣を引き出そうと
銀行のATMに殺到するという騒ぎになりました。
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高額紙幣を廃止した理由
インドはなぜ、突然に高額紙幣を廃止したんでしょうか。
高額紙幣を廃止した理由は3つあります。
理由①:偽札対策
インドでは偽札が多く出回っている状況で、
それが犯罪にも使われていました。
偽札で多く出回っている高額紙幣への
対策として、突然の高額紙幣の廃止をしたのです。
理由②:不正資金の撲滅
インドには、GDPの半分にも及ぶ
地下経済があると言われています。
闇市場みたいなイメージで
表にでてこない取引です。
もちろん、政府はそこから
税金をとれないので困っていました。
お金持ちたちも現金として高額紙幣を
銀行に預けずタンス預金でたくさん
ため込んでいたと言われています。
この金持ちが密かに貯めていたお金と
闇取引を炙りだすために、
準備する暇を与えず、
今の高額紙幣を突然廃止したのでした。
理由③:銀行利用の促進
日本は現金社会と言わていますが、
日本以上にインドは現金社会です。
なんと、不動産や車でさえも
現金での取引がされています。
なので、銀行口座を持っていない人が
かなり多かったんです。
今回、突然の高額紙幣廃止と合わせて、
口座を開設しないと新紙幣を使えない仕組みにして、
口座を強制的に作らせようとしたのが三つ目の理由です。
口座に預金されていれば、
国民の資産状況が分かり、
所得も把握しやすくなり、
税金も取りやすくなるというのが
インド政府の狙いでした。
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高額紙幣が突然廃止された国民はどんな反応だったか
突然の高額紙幣廃止の理由を説明しました。
では、4時間というかなり短い時間で
高額紙幣を突然廃止されてしまった
インド国民はどんな反応をしたんでしょうか。
高額紙幣がなくなるということで、
みんなが少額紙幣を手に入れようと
ATMに殺到しました。
首相の高額紙幣廃止の宣言の後は、
ATMに長蛇の列ができました。
5千円札と一万円札がなくなると言われたら、
とりあえず、千円札をいっぱい下ろしますよね~。
また、発表がいきなりで、
不正確な情報の伝わり方もしてしまったようです。
高額紙幣の価値がなくなると勘違いして、
タンス預金をたくさんしていた女性が
自殺するという事件までありました。
国中が混乱した様子がわかります。
また、今の高額紙幣を廃止したら、
順次、新しい高額紙幣を流通させる予定だったんですが、
発行が追い付かず、国中が現金不足になりました。
現金が手元になくなりと困るので、
みんな買い物を控えます。
そのせいで、国の経済が停滞し、
インドの成長率は大幅に落ち込むと予想されました。
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高額紙幣を廃止して、結果はどうだったか
インド首相の突然の高額紙幣廃止の
発表から一年が経ちました。
果たして、効果はあったんでしょうか。
シンクタンクなどの専門家によると、
この政策は失敗に終わったようです。
脱税などのブラックマネーの炙りだしが、
実施の理由でしたが、最終的に、
金融機関で交換された旧高額紙幣は、
15兆2800億ルピー(約26兆3000億円)に
上ったそうです。
これは流通量の99.8%です。
つまり、非合法のため、泣く泣く紙屑に
なると思われていたブラックマネーは、
ほかの現金にうまく変えられてしまったようです。
政府の見込みだと、3兆ルピーは
破棄されると踏んでいたようですが、
結果はうまく逃げられてしまったようです。
ブラックマネーの炙りだしという
高額紙幣廃止の理由の一つが空振りに終わったわりに、
現金不足などにより経済に与えたダメージは
大きかったので、結局、この高額紙幣廃止の
作戦は失敗だったと評価されているんです。
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筆者の所見
インドの高額紙幣が突然廃止された
理由をまとめました。
結果は、ブラックマネーのあぶり出しに
失敗してしまったようですが、
こういった思い切った政策をできるのはすごいですね。
日本だったら、絶対できなそう・・・。
銀行口座への増加や脱現金化という意味では、
少なからず進んでいると思うので、
これを契機に今後もいろいろ施策を期待したいです。
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