前FBI長官のコミー氏が、公聴会でトランプ大統領が言っていた解任理由は「ウソだ」と証言した。前FBI長官が解任されたあの日、何があったのか、ロシアとの関係は本当なのかまとめてみました。
概要
8日の米上院情報特別委員会の公聴会において、前FBI長官のコミー氏は5月9日にトランプ大統領から電撃解任されたことについて証言しました。
トランプ大統領は解任理由を、トミー氏の指導力不足などとしていましたが、トミー氏は、ロシアとの癒着疑惑の捜査を妨害することが目的だったと非難しました。
引用:日本経済新聞
これまでの経緯
2016年に行われ大統領選挙において、選挙へのロシアの介入が疑われていました。
選挙当時、ロシアがアメリカにサイバー攻撃を仕掛け、民主党のヒラリー・クリントン候補の電子メールを流出させたという疑いがもたれています。トランプ氏の対立候補なので、これがトランプ氏当選のための後押しであり、トランプ氏とロシアが繋がっているのではないかと疑われているわけです。
その後、FBIはトランプ陣営とロシアの関係について捜査をしていまいしたが、5月9日、当時FBIの長官だったトミー氏はトランプ大統領から突然、長官の職からの解雇を言い渡されます。
解任理由について、ホワイトハウスは「FBIは混乱状態になっており、コミー氏の指導力に対する信頼が失われていた」としていました。
今回の公聴会で、トミー氏はこの解任理由に反論したわけです。ホワイトハウスの言っていることはウソであり、捜査を妨害することが目的だったと非難しています。
前FBI長官の証言のポイント
前FBI長官であるコミー氏の証言を整理してみましょう。
①解任理由はウソだ
これは上で書いた通りですね。
②捜査の中止について、トランプ大統領から指示があった
解任前、コミー氏はトランプ大統領から、「彼はいいヤツだ。この件は放っておいてほしい」と言われたと証言しています。彼とは、ロシアとの関係をめぐって辞任したフリン前大統領補佐官です。
まさに、トランプ大統領のロシア疑惑の中心にいた人物であり、彼を放っておけということは、捜査を止めろに等しいわけです。コミー氏もトランプ大統領の発言について、捜査中止の指示だと受け止めたと証言しています。
一方で、トランプ大統領とロシアの癒着疑惑について、公聴会で新しい情報を公開することはありませんでした。
③司法妨害には言及せず
捜査中止について、トランプ大統領の発言が「司法妨害」にあたるかの見解を求められましたが、コミー氏は「私が判断することではない」として、特別検察官に判断を委ねました。
「司法妨害」とは、捜査を”不正に”妨害・邪魔しようとすることです。トランプ大統領が不正に圧力をかけたということになれば、大統領の弾劾にもつながりかねないのです。
要するに、今回の件で大統領の辞職という事態にまで発展する可能性もあるのですが、そのポイントになる司法妨害かどうかの判断は、あくまで専門に捜査している特別検察官に判断を任せて自身では発言しなかったのです。
④トランプ大統領との会話メモがある
トミー氏はトランプ大統領との会話をメモに残していたと証言しています。このメモは通称「コミー・メモ」と呼ばれていて、コロンビア大学教授と共有しているそうです。コミー氏は、「トランプ大統領がウソをつくかもしれないと心配し、文書に残した」と語っています。
トランプ大統領が反撃
トランプ大統領はコミー氏の証言の後、ツイッターでコミー氏を「漏えい者」だとツイートしています。
「証言はウソばかりだ。コミーは漏えい者だ」
実は、コミー氏との会話については5月にもツイッターで、「会話を録音したテープがないことを願った方がいい」とコミー氏をけん制しています。テープが出てきたらウソがばれるから、あまりウソばかりつかないほうがいいぞ、というわけです。
それに対してコミー氏も、「テープが存在することを願う」と、出せるものなら出してみろと強気に応戦しています。
筆者の所見・感想
言った言わない論争はどの世界にもありますね。果たして真実はどうなっているのでしょうか。今後の捜査で進展があるのを待ちましょう。
真実がいい方に転がるかは別問題ですが、市場はトランプ大統領が辞任した場合を好意的にとらえている向きもあるようで、着地はなかなか読めませんね。