トランプ米大統領がパリ協定からの離脱を表明したことで、国内外から様々な反応が起こっています。今日は、それぞれの立場から、どんな意見が出ているのかまとめてみました。
概要
昨日、トランプ大統領は、地球温暖化対策の世界的枠組みであるパリ協定からの離脱を表明しました。それを受け、世界各国から、米国内から、はたまた身内からも反対意見の反応が起こっています。パリ協定離脱がどんな影響を及ぼすのか、それぞれの主張から見ていきましょう。
パリ協定離脱の詳細・経緯が知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
トランプ大統領がパリ協定離脱を表明!理由はなんなのか?
フランス大統領が即レス
「地球Bはないのだから、プランBもない」
フランスのマクロン大統領は、こうトランプ大統領を批判しました。トランプ大統領が離脱表明をしてから、2時間たたないうちに反応したということですから、かなり早いですね。
マクロン氏とトランプ氏は電話会談をし、トランプ氏はパリ協定の再協議を提案したそうですが、マクロン氏はきっぱり拒絶します。アメリカにより協定を妥協させる気はまったくないということで、プランBなんてあり得ないという意味で冒頭の発言になったわけです。
マクロン大統領は、他の署名国193国にも、枠組みに残るよう呼びかけました。トランプ大統領のスローガンをもじって、「We will make our planet great again.」(我々の地球を再び偉大にしよう)と発言し、SNSでかなりの反響を呼んでいます。
国内企業はどうか
米国内の有名企業でいうと、IBMがトランプ大統領に反論しています。トランプ氏はパリ協定が米国内の労働者と経済にとって悪影響だと言うが、パリ協定による努力は各国が決めるため、話し合いのテーブルについている方が、蚊帳の外にされるより結果をリードできる、ということが趣旨です。
これまた大企業GEのCEO(最高経営責任者)であるイメルト氏もツイッターで反応しています。「大統領の発言に失望した。気候変動は現実だ。これからは政府ではなく、産業界がリードしなくてはならない」
国内産業界からの反発も大きいようです。
身内からも批判が
米電気自動車大手テスラモーターズCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が、トランプ大統領の離脱表明を受けて、トランプ政権の経済諮問委員会から離脱することを表明しました。
ツイッターでも、「パリ離脱は米国にも世界にもいいことではない」、「大統領へ残留を進言すべく、あらゆる手を尽くした」という旨の発言をしており、強力に反対していた様子がうかがえます。
マスクCEOは、18人のビジネスリーダーで構成される経済諮問委員会の一人で、製造業の雇用政策の顧問でもありました。マスクCEOは世界でも有名な起業家であり、有能な人物が離れていってしまうのは、かなりの痛手です。
あのAppleも意見を・・・
あのAppleも意見表明しました。CEOのティム・クック氏は、社内メールで全社員に想いを語りました。
実は、離脱表明前にクックCEOはトランプ大統領と会談し、離脱しないよう説得していたというのです。その甲斐なく、離脱表明となってしまいました。
社内メールでは、再生エネルギーの取り組みに努めること、それがAppleのビジネスにもプラスになること、関係企業とクリーンエネルギーの活用推進を協力していくというものでした。
筆者の所見・感想
ほぼ全方面から批判が来ていますね。トランプ大統領がこの状況を予想した上で離脱表明をしているとすると、今後どのような手を打ってくるかは注視したいところです。ただ、有能な人材の離脱や各国との関係悪化は短期的にも大きなマイナスであり、他の政策や経済に悪影響がでるのは避けられないような気もします。