JASRACが音楽教室で著作権料を徴収しようとすることに対して、
音楽教育を守る会は、文化庁へ反対の署名を提出しました。
一体何が問題で騒いでいるんでしょうか、
理由やポイントをまとめてみました。
概要
2月、日本音楽著作権協会(JASRAC)は、
音楽教室での演奏から著作権料を徴収する方針を示しました。
JASRACは、音楽の著作権を管理してる団体で、
ここに加盟して登録してある曲を使おうとすると
JASRACに著作権料を払う必要があります。
そして、JASRACを通して、
アーティストの人にお金がいくわけです。
お店とかで音楽をかけたいってなると、
当然、利用料を払わなきゃいけない気がしますが、
今回は、音楽教室での利用に対してです。
音楽教室で楽器を練習したり、
先生のお手本を聞いたり・・・、
そういった演奏に対して、
曲の使用料を払えと言ってるんですね。
著作権料は受講料収入の2.5%を検討しているそうです。
結構、とられますね・・・。
もちろん、ヤマハなど、
大手音楽教室は大反対です。
「音楽教育を守る会」なるものを結成し、
対抗する気マンマンな状態になったのです。
何が問題なの?払えと言ってる理由は?
えっ?、練習してるだけだし、
誰かにちゃんと聞かせてるわけじゃないから、
払わなくてもいいんじゃないの?
レッスンとはいえ曲を使ってるんだし、
払うべきなんじゃないの?
むしろ、払ってなかったのか・・・
みなさんは、どっちのイメージでしたか。
これから理由を解説してきますが、
ざっくりしたイメージは、
上のような感じで意見が対立してるんです。
いろいろポイントはあるんですが、
ひとつは著作権法の「演奏権」です。
「演奏権」とは、
“公衆”に聞かせる権利は作詞・作曲家もっている
というものです。
これがあるので、コンサートとかで勝手に演奏できないのです。
ただ、対象は”公衆”です。
JASRACに反対する人たちは、
音楽教室は閉じた空間だし、”公衆”ではないだろ
と主張してるのです。
JASRACが解説を発表してた
世間からの批判が盛り上がってしまったので、
JASRACは
「一部報道やSNS等で事実と異なる情報も広がっている」
として、主張を説明するQ&Aを公開しました。
みんなが好き勝手言い出したので、
ちゃんと言いたいことは主張するということでしょうか。
ひとつは、徴収はいきなりじゃないよ!ということ。
実は、既にカラオケ教室や、カルチャーセンターでの
音楽教室からは使用料をとっていて、
むしろ、ヤマハとかの音楽教室だけ徴収してないそうです。
著作権料をとらないと、逆に他の業者と比べて
不公平だというわけです。
もうひとつは、法律的なポイントについてです。
上記で、「演奏権」の話をしましたが、
「営利事業である音楽教室には演奏権が及ぶ」
というのが、JASRACの見解だそうです。
“公衆”については、受講者という
不特定の顧客が”公衆”だと説明しています。
「演奏権」のとらえ方で、
音楽教育を守る会と真っ向から対立してますね。
まぁ、ここは法律的な解釈の闘いなので、
裁判で決まっていくんでしょう。
筆者の所見
どっちの主張が正しいかは専門家に譲るとして、
音楽業界の限られたパイ(利益)を
JASRAC(アーティスト)とヤマハ(音楽教室運営側)の
どちらがとるかの争いですね。
消費者としてはヤマハが勝つとうれしいですが、
著作権(アーティスト)の保護も大事です。
個別の利益の奪いだけに済まさず、
音楽業界として、
今後発展するような着地になればいいなと思います。